小説を書くということ

ＨＰを開設してはや、２０日
最近、色々な方からメールをいただくようになりました。

作品のダウンロードサービスをやらせていただいているので
作品の感想のメールが一番多いのですが（ありがとうございます　みなさん）

それに混じって、「いつごろから小説を書き始めたのですか？」とか
「どうやったら小説を書けるようになるのですか？」というメールが
増えてきました。

なかなか個々のお返事を返すことができないので
今日は、そのへんのことをお話しさせていただこうと思います。
（今まで、その旨でいただいたメールに
返事を返さないというわけではないですので、ご心配なく・・・・）

いかんいかん　堅い書き出しだ。
まあ、さばさばと書いていきますので、ティーカップでも傾けながら
気楽に読んで下さいまし（笑）

実は、本格的に小説を書き始めたのは、２年ほど前のこと。
小説家としてのキャリアは、めちゃくちゃ浅いです（驚きました？）
それまでは、実用書を書いたり、コラムとかエッセイらしきものを書いたりしてました。

それまでに、何本か小説作品を書いてますが、
いずれも納得できない仕上がりだったので
手直しもすることなく、発表することもなく、
原稿はお蔵入り状態（いや、パソコン入り状態というべきか）になってます。

本当は思い切って捨てたいんですけど、貧乏性なもので・・・（笑）

そんないきさつがあったので
「自分には、小説は向かないのかな？」と思っていたのですが、

ある日突然、急に小説がまた書きたくなって、
おそるおそる書いてみると、以外にもあっさり書き上げることができたんですね

それだけじゃなく、次々と作品の構想が湧いてきて、
時間がなくて書ききれない状態になってしまいました。

多分「その辺に至ったいきさつを詳しく・・」なんて言ってる人がいると思うんですけど、
なぜそうなったのか、自分でもよく分かりません。

ですが、自分でも冷静に検証してみると、
ある事件の存在が鍵になっているのは確かです。

２年半ほど前かな・・・・・・・

とある事件がきっかけで、
僕は、「命の尊さ」や「人生の意味」について
深く考えるようになりました。

そのことを書き連ねると、固い話になりますし、
面白みに欠ける話になりますので割愛しますが
（少なくともこのサイトのテーマから、はずれますしね）

その辺のことを小説作品という形で、
書いてみたいという欲求が強くなったんでしょうね。

その思いが急激に発酵して発露したのが、自分の作品だと思っています。

じゃあ、なぜ、自分の心の内に湧いたものを表現するのに
文学という媒体を選んだのか？
そのことを少しお話しましょう・・・・・・

文学も含めて、芸術というのは、自分の心の内に湧いたものを
他の方の目に見える形に変える作業です。

少し、口はばったい言い方をすると、それは、
「創造」と言うよりも「翻訳」に近い作業だと思っています

そう、「翻訳」

自らの心の内に湧いた「愛情」とか、「狂気」などといった、形のないものを、
何らかの表現方法を駆使して、できるだけ完全に近い形で復元していく作業

これが芸術という作業だと思うのですが
その様は、「創造」というより「翻訳」という方が適切だと思っています。

僕は、「表現を試みはじめたころから」
その思いをパーフェクトに表現したいという欲求が常にあって
色々な表現方法を試みてきました。

若い頃は、音楽や美術にも傾倒しましたし、（あっ、今でもじゅうぶん若いか・・・）
そのほかにも、舞踏とか色々な手法を通過してきました。
その中で、感じ取ったことは、
残念ながら、文学にしろ、音楽にしろ、美術にしろ
パーフェクトに自分の思いを目に見える形で
翻訳する表現手法は存在しないということでした。

そのことに気づいたとき、さすがに愕然として
無気力なまま数年を過ごすことになりましたが

ある時期から
「自分が伝えようとすることと、
　受取手との間に生じるギャップを、ゼロに近づける作業を一生のテーマにしてはどうか」と
考えることができるようになりました。

そう思えるようになったのは、まさにコペルニクス的展開だったわけですが、
そのための表現方法として、僕は文学を選ぶことにしました。

「なぜに文学？」というご質問が聞こえてきそうですが、
それもごもっともなご意見で
言葉というのは、非常に制約が多く、表現媒体しては厳しい面が多すぎます。

おそらく、何年かかっても、自分の内に湧いた想いを、
完全に表現できるようになることはないでしょう。

ですが、それは逆に言えば、僕の残りの一生の全ての時間をかけて
追求できるということですよね。
そのことにやりがいを見いだせるようになったというのが、
小説を書き始めた大きな理由です。

これから、たっぷり時間をかけて、作品を書いていきますので、
まあ、気長におつき合い下されば
幸いです。

はてさて、これからどんな作品が書けるようになりますやら
それは、僕にもさっぱり分かりません（笑）